これは難しいですね! でも、勉強になる! 今回の記事は問題解説というよりも、思考過程の整理を目的とします。
問題
三角形 の内部に点 をとり、直線 に対して点 と対称な点を とするとき、直線 が 点 で交わりました。
さらに、三角形 の外心を として、以下が成立しました:
このとき、線分 の長さとしてあり得る値の総積を既約分数 と表したときの、 の値を答えてください。
考えたこと
コンテスト時間内には解けませんでした。コンテスト後の Twitter で「 になる」という大ヒントを見てしまったものの、そこから先は自力で解き直してみました。
ひとまず、「直線 が 点 で交わる」という条件が強いので、それを言い換えることにしました。
そうすると、 になるのはもちろんなのですが、 点 が一直線上にあるという衝撃的結末を迎えました!!
ちょっとした tips
数オリなどでは、むしろ 1 点で交わることを証明させるケースの方が多いかもしれないですね。
でも、これは数オリでも使えるテクニックですが、初等幾何の命題では同値性が保たれることが多いので (あくまで経験的な話です)、「逆に 1 点で交わるならば......」と論証を進めることで得られる性質から、解決のヒントが見つかることも多いです。つまり、命題 が成り立っているならば 点で交わることを示す問題において、
という論証が想定されているとき、多くの場合、
が成り立っているので、逆に「 点で交わるならば......」と論証を進めることで、中間ポイントである が見つかることが多々あると思います。
今回の場合
今回の問題では、点 から辺 に下ろした垂線の足を とするとき、次のようになっていますね!
ただし、3 直線が 1 点で交わるというとき、3 直線が平行である場合も含むこととします。
このうちの 1 つ目「」は、初等幾何の 2 つの円が絡む場面では、あまりにもよく出てくる構図ですね。図にすると下図のようなイメージです!
一般に 2 円が点 で内接するとき、点 A を通る直線と 2 円の交わる交点を とすると、 は常に一定になります。ゆえに、点 A を通る直線を 2 本とり、それぞれが 2 円と交わる点を とすると、 となります。この性質を用いた構図は初等幾何で本当によく出てきますね。
上記性質の細かい論証は、公式解説に譲りたいと思います。
詰め
3 点 が一直線上にあることさえ分かってしまえば、あとはもうすぐです!
3 点 が一直線上であると言っても、2 通りの場合があります。
- 3 点 がこの順に一直線上にあるとき
- 3 点 がこの順に一直線上にあるとき
それぞれの場合について、 の値は求めてあげましょう。結局答えは、
となります。
なお、最後まで という条件は使いませんでしたね。こういうのを余剰条件というようです。OMC では、余剰条件を追加することで問題の難易度を上げるテクニックがあるようです。