まず「有限個になるの!?」って見た目が面白かった!
問題
以下の条件をともにみたす正整数 の総和を求めてください:
- 以下の正の整数であって、 を割った余りが であるものが、ちょうど 個存在する
- 以下の正の整数であって、 を割った余りが であるものが、ちょうど 個存在する
考えたこと:条件の言い換え
問題文を見た瞬間に思ったのは「有限個になるの!?マジで!?」という感じでしたね。
なにはともあれ考察を深めていきましょう。まず、最初の条件を言い換えます。
正の整数 が を割った余りが である
かつ は の約数である
となることから、最初の条件は「 の約数がちょうど 個である」と言い換えられます。 の約数は も含めると 個であるということです。
同様にして、後者の条件は、以下のいずれかに言い換えられます。
- が偶数であるとき: の約数がちょうど 個 ( も含める)
- が奇数であるとき: の約数がちょうど 個 ( も含める)
素因数分解を元にした考察を進める
約数がちょうど 3 個である数とは、素数 を用いて と表せる数のことですね。よって、素数 を用いて
と表せます。 は明らかに後者の条件を満たさないので、 は奇素数です。よって、 は偶数にしかなりませんので、後者の条件は
「 の約数がちょうど 個」
となります。約数が 個という条件はなかなかに厄介ですね。要領よく探索したいところです。
さて、 であることから、 と表せます。ここで、よくある議論ですが、次のことが言えます。
が奇数であるとき
- であるか、 であるかのいずれかである
- と は互いに素である
この先、これらの知見が大活躍します!
約数が 24 個という条件をうまく扱う
それでは、 の約数が 個であるための条件を絞りましょう。
まず、上の議論から、 は最低でも で割り切れることがわかります。このことから、次の場合に分けられます。ここで、 を素数としています。
- Case 1:
- Case 2:
- Case 3:
- Case 4:
- Case 5:
- Case 6:
順に調べていきましょう。結構腕力を問われる問題ですね!
Case 1:
と が互いに素であることから、次の 4 パターンに分かれます。
であることを踏まえると、いずれも不適です。
Case 3:
Case 2 は恐らく本命 (直観により) なので、先にダメそうな Case 3 を片付けることにしました。
実際、Case 1 とほぼ同様に不適であることがわかりました。
Case 5:
同様に不適です。
Case 6:
明らかに不適です。
Case 4:
Case 2, 4 が残ったのですが、Case 4 の方が対称性から楽できそうという理由から、先に Case 4 をやりました。
この場合は、次のいずれかになります。
ここで一瞬途方に暮れたのですが、「3 つの素数が式で結ばれている」という状況から、「 のいずれかは になるのではないか」という直観が働きました!
きちんと示しましょう。 で考えてみます。
の場合は明らかに不適なので、 を で割った余りは または としてよいです。よって、 のいずれかは の倍数となります。
つまり、 または が成り立つのです!!!
それを踏まえて、 が素数になるパターンをすべて求めると、
が得られます。
Case 2:
この場合は、次のいずれかになります。
パターンが増えましたが、Case 4 と同様に、 は ではないとしてよくて、 または となります。
が素数になるパターンをすべて求めると、
が得られました。
まとめ
以上をまとめると、 という 個の解があります。それぞれ、 より、
と求められます。答えは、この総和である です!
感想
または が導かれる瞬間の快感はやばいですね!
個人的には次の問題を思い出しました。
がすべて素数となるような正の整数 の値をすべて求めよ。
これも で考えることで綺麗に解けます。